2008年06月30日

眠。

更新無くて申し訳ないので小話でも。



 どうやら、この男は相当疲れているらしい。
 ベッドの中、身じろぎもせずに、すやすやと眠っているロイを見下ろしながら、エドワードは思った。
 睡眠を邪魔しないようにベッドの端に腰掛けて、眠っている時の方がいっそ端正に見える気がするロイの顔を見つめる。
 思えば、タイミングが悪かったのだ。色々と。
 いつもの旅先。何故か無性に会いたくて仕方がなくて。司令部に連絡さえ入れずにイーストシティ行きの列車に飛び乗った。
 ロイは嬉しそうに出迎えてくれたけれど、先日起こったテロ事件のせいで、丸三日寝ていないというその顔は明らかに疲労の色が濃くて。
 事件は解決したから休んでいいと有能な副官に苦笑まじりに言われ、引きずるようにして連れ帰ってきたのだが。
「……………」
 エドワードは、安らかな寝顔を見おろしながら、小さくため息をついた。
 家に帰り、シャワーを使い、エドワードの作った簡単な食事をとっている最中に、ロイはスイッチが切れたように眠りに入ってしまった。
 何とかベッドに運んで寝かせ、既に半日。もう夜だ。
(別に、何か期待してたとか、そんなんじゃないけど)
 ただ、足りなかった。
 体温。声。匂い。―…熱。
 一度その飢えに気付いてしまえば、あとはもうどうしようもなくて。
 しかし会いに来てみればロイは寝っぱなしで、エドワードはろくに会話すら出来ていない。
 疲労の色が濃い男の睡眠を邪魔する気にはなれず、おとなしく文献を読んで暇を潰していたのだが。
(何か色々、限界だし)
 起きるなよ、と念じながら、エドワードはそっと毛布をめくってロイの横に潜り込む。
 腕を持ち上げ、その胸に頭を押しつけて、抱きしめるような体勢にさせたのは単なる自己満足だ。
 じんわりと伝わる体温。そのたまらない幸福感。
 足りなかった何かが、確実に満たされてきて。
 ついでにキスもしようかと思ったが、勿体ない気がしてやめておく。
 その代わり、起きたらこちらからキスしてやろうと決めて、エドワードはゆっくりと眠りに落ちていった。


何か多分友達に携帯で送ってそのまま忘却してたんだと思います。
posted by 観済寺凪之介 at 22:12| 小話