2010年12月30日

カモン!シンデレラ!!

※冗談の通じる心の広い方のみ、続きからお読み下さい。
※パラレルネタです。
※かなりダイジェストで、しかもオチがありません。
※大佐がシンデレラですが女装ではありません。







 小国・アメストリス王国。形式上は王制を敷いてはいますが、実質的に国を支配しているのは軍部でした。
 しかし、その軍の大総統であるキング・ブラッドレイが、先代の王であったヴァン・ホーエンハイムと親交があった事から、まだ幼い王子二人の後見人をも務めている関係上、軍部と王家の関係は良好でした。
 早くに両親を亡くした幼い兄弟は、その愛らしい容姿と、明晰な頭脳。そしてその屈託の無い明るい性格で、国民全員から愛されておりました。
 そして軍部の中でも兄弟と特に親交が深いのは、幼い兄弟の教育係兼遊び相手を務めていた、ロイ・マスタングという若き国軍大佐でした。

「久しぶりだな大佐! 会いたかったぜ!」
 軍部で仕事をしているロイ・マスタング大佐の元に、突然白馬に乗ってエドワード王子が現れました。王子は大抵、こんな風にして唐突にロイのところに遊びにやってきます。
「……昨日会ったばかりのような気がするが。ところで、その大量の荷物は何だ?」
「ああ、オレが錬成した。じゃーん! シンデレラのガラスの靴! このガラスの靴履けた奴シンデレラ! オレの嫁! ……で、これをー……」
「おいこら、勝手に私のブーツを脱がすな。何だそれは」
「んー、ちょっとサイズ違ってたか。よし、錬成し直そう」

 エドワード王子は有能な錬金術師の多いアメストリスの中でも、トップクラスの能力を有する錬金術師です。特に両手を打ち合わせるだけで錬成陣を描く必要の無い錬成スタイルは、この国の中でも数える程しか行う事が出来ない、非常に珍しいものです。
 サイズを微調整した、ちょっぴり巨大なガラスの靴は、ロイの足にぴったりのサイズになりました。
「よし、じゃあ、あんたがオレの嫁って事で」
「ちょっと待て、何故そうなる。て言うか、何か意味があったのか今のガラスの靴は」
「昨晩の舞踏会でガラスの靴を残し、12時の鐘と共に消えた美しきシンデレラ。それがあんた。……という夢を見た」
「妄想じゃないかどう聞いても」
「大丈夫。オレ共働きオッケーだから。仕事続けていいから。家庭に入って専業主婦になれとか言わないから。あ、でも子供は野球チームが作れるくらいで、あと犬も飼おうな。白い壁の小さなお家を建ててさ……」
「とりあえず人の話を聞けー!!」

 このように非常にマイペースなエドワード王子でしたが、幼い頃から可愛がってきた王子を無下にする事も出来ず、ロイはエドワード王子との『婚約者ごっこ』に渋々付き合う事となります。
 しかし、休みごとに城下町を引っ張り回され、遊びに付き合わされても、ロイは結局エドワード王子を嫌う事など出来る筈もありません。
 結局のところ、ロイだって、この破天荒で風変わりな王子の事が、好きで好きで仕方が無いのです。


 デートだと称して連れて行かれた、アメストリスを一望できる丘の上。夕暮れ時の町は茜色に染まり、ぽつぽつとその街角に明かりが灯り始めていました。
「――…オレ、この時間が一番好きなんだ。明かりがついてると、そこに人が居るんだなって気がするだろ」
「……そうだな」

 エドワードの素直な感情が伝わってきて、ロイも素直に頷きました。
「オレ、この国が好きなんだ。小国だし、貧乏だけど、皆明るくてさ。……幸せにしたいんだ。この国を。絶対に」
「王子……」
「あ、王子って禁止って言ったろ! ちゃんと名前で呼べって。何ならハニーとかダーリンでも可」
「誰が呼ぶか!」



 しかしある日、ロイはエドワードの弟であるアルフォンスから、衝撃的な事実を聞かされる事となります。
「……エドワード王子がドラグマに留学? そんな事は聞いていないぞ。しかも、君に王位を譲るだなんて」
「留学とは名ばかりの、体のいい人質です。戦争を止める為のね。……妾と言った方がいいかな。ドラグマ国王の男色趣味は、有名ですから」

 アルフォンスの言葉に、ロイは全ての事態を悟ります。エドワードの唐突な行動も、その意味も。


「あー、ばれたか。まあ、そういう事だからさ。オレにつきまとわれるのもあとちょっとだから、大佐も我慢して――…」
「大人しくドラグマ国王の慰みものになる気か。アルフォンスに王位を譲ったのも、そのせいか」
「だって、オレを直々に指名してんだせ? ちょっと我慢してりゃ戦争はやめてくれて、おまけに援助までしてくれるってんだから、皆幸せで万々歳だろ」
「……君は、いつもそうだ」
「だから、悪かったって言ってるだろ? 留学まであとちょっとだし、もう大佐につきまとったりしないから、」
「そんな事を言っているんじゃない!」

 思わず大声を出したロイに、エドワードは驚いてびくりと身を震わせます。
 ロイは正面からエドワードの両腕を掴み、真っ直ぐにエドワードを見据えました。
「君はいつも、国を、皆を幸せにしたいと言う。……なら、君の事は、一体誰が幸せにすると言うんだ。君の居ない国で、私一人で幸せになれとでも言うのか」
「……大佐……」



 しかし、ドラグマに旅出つ期限はどんどん迫ってゆき、そして、旅立ちの朝。エドワードは信じられない光景を目にする事となります。
 それは城の広場を埋め尽くす、アメストリス国軍の精鋭達。その実践的な装備や服装は、エドワードのドラグマへの『留学』を見送る為の式典用ではない事は明らかでした。
「大佐、これ、何で……」
「命令ではないよ。皆、自分の意思でここに集まったんだ。そうだな?」

 ロイのその声に呼応するように、全員が腕を振り上げ、口々に声を上げます。その声は力強く、大地を揺るがすような大音量でした。
 その最前列には、エドワードもよく知っている、ロイの腹心の部下達の姿もあります。その中から、ハボック少尉が一歩前に進み出て、いつもの咥え煙草で屈託なくエドワードに笑いかけました。

「いつもみたいに我が儘に命令して下さいよ。あんたが一言、ドラグマになんか行きたくないって言ってくれれば、俺達全員、ドラグマとドンパチおっぱじめる覚悟は出来てんです」


 国と国とを巻き込んだ、世紀のハイパーミラクルアクションスペタクルアクションラブロマンスが今、幕を開ける――…


2011年春、近 日 公 開 未 定 !!


冗談です。
posted by 観済寺凪之介 at 11:24| 小話