2011年08月29日

小話じゃないけど事件物捏造方法徒然。

夏の新刊のどれかの後書きに原稿を書く時の過程として「まず事件を起こして、そこにロイエドを投入するといちゃいちゃしながら事件を解決するのでそれを書く」みたいな事を書いたら「まず事件が起きません」との御意見を頂いたので、ちょっとだけ詳しく「事件の捏造の仕方」をツイッターで過程を垂れ流してみたところ、ご興味を持って下さったり、もしくは「もっと詳しく」と仰って頂ける事があったので、とりあえずまとめてみました。

以下、長いので畳みます。


1.まず、事件を起こします。とりあえず、犯人とかオチとか決まってなくてもこの段階ではオッケーです。
(適当にひねりだしたネタなので、本当に適当なオチがつきますがご勘弁を)
連続猟奇殺人事件とかそれっぽいので、とりあえず変な死体が次々見つかる方向で。
今回は「何故か片方の耳だけが切り取られた遺体が発見される」という設定で行く事にします。

2.次に「何故片方の耳だけを切り取る必要性があったのか?」という回答を考えます。
例えば、
@犯人が快楽殺人者。切り取った耳はトロフィーのつもり。
(快楽殺人者の一部は被害者の遺体の一部を切り取ったり、装飾品の類などを記念品として持ち去るケースがある)
A耳に対する異常な執着を持つ異常性愛者。
(上記に類似しているが、この場合は殺人行為よりも耳そのものを持ち去るのが目的)
B首級の代わりとして耳を切って持ち去った。
(戦国時代、敵を倒した際、切り落とした頭部を証拠としたが持ち運びづらい為に耳だけを証拠として持ち帰る事があった)
C耳に犯人にとって不都合な印(痣や傷など)があった為に切り取る必要があった。


今回はとりあえずCを選択します。@とAは便利なんですが個人的にあまり好きではないオチなので。
しかしここで出た回答を捜査会議の時の意見としてよく使います。B辺りはファルマンとかが言いそう。

3.では耳にどんな不都合な印があったのか?を捻りだします。
@刺青
A痣
B傷
Cピアスホール

擦っても消えないからこそ、わざわざ切り取る必要があったわけなので、ちょっとやそっとじゃ消えないものだろうという事で上記のようなものが考えられます。
そして「連続猟奇殺人事件」というからには、被害者は複数いて、しかもその共通点はあまり見出せない方がそれっぽいです。
しかし実際に連続殺人事件が起きているからには、必ず何かの共通点があるわけなので、次にその共通点を考えます。

4.同じ傷や痣が耳にあると仮定すると、必ず周囲の人間が必ずその傷や痣を見ていると思われますが、それだとつまんないので「特に傷も痣も無かった。ピアスも開けていなかった」という事にします。
と、なると、その傷か痣は、普通人目には触れない場所にある事になります。例えば耳の裏側。そこに何か一目見て分かる異様な傷か痣があるという事に。
では、その傷か痣は、いつ、どんな時に、誰によってつけられたものなのか?
@錬金術絡みの実験の結果、耳の裏に痣がついた。
(非合法に誘拐されて実験台にされたが、今は観察の為に記憶を消されて一般社会に戻されている。痣は識別用のバーコードのようなもの)
Aカルトっぽい関係の儀式でつけられた傷跡。焼き印とか。
(怪しいカルトとSMっぽい行為はものすごく近い位置にある気がします。恍惚と言う意味で)


@を選択するとまた展開が変わってくるのですが、今回はAを採用します。しかしこの場合だと、殺害して耳を切り取ってまで隠したい情報は何なのか?という事になります。
例えばこの場合は、宗教の教祖のイニシャル。イニシャルではなく、いっそフルネームでは?という事に。
しかしこのままだと、教祖も、またその信者もお互いに望んでその刻印を押したという事になるので、わざわざ隠蔽しようとする理由が見当たらない。
更に、同じカルトの信者であったのなら、共通点として捜査線上に上がらない方がおかしいので、ここで修正を加えます。

まず、連続殺人事件の被害者達は何らかの繋がりがある。しかしそれは表だって繋がりが見えない、しかし宗教的な熱狂を伴った、周囲には秘密にするような関係。
と、仮定して連想したのが、一昔前に流行った怪しい雑誌の文通相手募集欄。
「前世、レムリアの戦士だった方、白き巫女、暁の魔導士、イル・アル・パシャリトスの名に聞き覚えのある方、是非お手紙下さい!」みたいなやつですね。
所謂、前世の仲間を探すという目的で(たまたま)同年代の若者が集まる事になり、そこでリーダー格(多分前世が勇者とか騎士団長とかまあとにかく偉い地位にあったという設定)が勢いとかノリとかで「永遠の忠誠を…!」みたいな感じで押しちゃったりした、という事にします。
まあ手軽に押せる金属製(焼印だから)で自分の名前っぽいのだとすると、小金持ちのボンボン(リーダー格)が特別に作らせた封蝋用の印璽(シーリングスタンプ)とかですかね。

しかし所詮は若さゆえの中二病なので、そのうち熱も冷めます。傷は残っちゃったけど、まあいっかー、みたいな感じでそれぞれ普通の生活を送ります。
(でも傷は見えたら恥ずかしいから全員髪は長めにして隠してる)
でもこのままだと事件が始まらないので、この焼印を、どーっしても隠したい!って人を登場させます。でもリーダー格本人じゃつまんないので、妥当なところで甘やかし放題の母親ですかね?
このリーダー格だけは小金持ちのボンボンゆえか甘やかされて中々現実に戻れず、いい歳こいて引きこもりで、色々こじらせてぽっくり死ぬ事にします。
で、母親が息子の死後、日記やら、焼印の写真やらを発見して事情を知って真っ青に。
仮にも長く続いた由緒ある家柄(という事にしときます)の息子がよりにもよってこんな事を…!とショックを受けた彼女は、焼印を押された若者たちの口封じと証拠隠滅を兼ねて連続殺人事件を起こし始めます。

よし、これで犯人決定!
※本当に適当に書いてるので石は投げないで下さい。

5.事件の概要が決まったところで、犯人に合わせて事件の肉付けを行います。
例えば、犯人はそこそこ年齢を重ねた、非力な老婦人なので、それでも確実に殺れる方法を考えます。
@スタンガン+刃物。
(スタンガンで相手を気絶。服を剥いで手で探りながら肋骨を避けつつナイフを突き刺して左右に動かせば、心臓をずたずたする)
A毒物。
(相手の飲み物や食べ物に仕込む事になるので難易度が高いです。あとどんな毒物も意外と量が必要だったりするので汎用性も低かったり)

この辺は色々な方法を工夫するのが宜しいかと。非力な犯人でも可能な方法って事で。

6.次に、どういった過程で事件の概要が分かってくるのかを決めます。まあ「事件現場にロイエドを投入して勝手に動いて勝手に喋り出すのをそのまま書く」という荒業もありますが、今回はやめときます。
とりあえず定番としては、昔の中二病仲間が次々に殺害されていく事を新聞で知った被害者(予定)が怯えて錯乱して、東方司令部に保護されて、そこから耳の裏にある焼印に気付く、とかですかね。
で、その焼印と、本人の証言から、小金持ちのボンボン(リーダー格)が犯人ではないか?と目星をつけるも、本人が既に死んでいる為、当てが外れて拍子抜け。

更に、犯人は早期に登場させておく必要もあるので、小金持ちのボンボン(リーダー格)の家まで尋ねて行って、犯人(母親)にも会っておきます。で、犯人の墓とかもわざわざ確認します。主治医にもあって検死に問題が無かったかなどを確認しとくと良いかと。
この辺で「あんな立派な屋敷に、使用人の一人も置かずにいるなんて不自然」とか伏線を入れておきます。あ、もちろん使用人を解雇したのは殺人に関わる諸々を知られたくないからです。
ここで「前世の業が」だとか「死んだ小金持ちのボンボン(リーダー格)が亡霊となって連続殺人事件を…!」とか入れておくのも一興です。

7.そして犯人としての決定的証拠を見つける必要があります。まあこの場合、順当なのは「切り取って持ち去った耳」でしょうね。
とっとと埋めるなり焼くなり捨てるなりしとけば良かったのですが、万が一にも他人に自分の息子の奇行が知られたくない一心で、処分する事も出来ずに手元に取ってあるという事で。
しかしナマモノなので、当然腐ります。なのでまあ主婦っぽい発想として、冷凍しとくとか、酒に漬けて瓶詰にしとくとか、そういう保存方法ですかね。
ビジュアル的には瓶詰の方がグロテスクなので、今回は瓶詰で。

と、証拠品も決定したところで、6で小金持ちのボンボン(リーダー格)の家に行った時の段階に戻って、伏線を張っておきます。「貯蔵庫や冷蔵庫の中には保存食品が瓶詰されてずらっと並んでいた」等ですね。
更に、わざわざ証拠品となる耳を取っておいた理由として、事情聴取などで犯人に「だって、あの子があの焼印を押したんでしょう?」「あれは、あの子の名前。あの子の、生きた証なんですもの…」とか虚ろなイッちゃった瞳で呟かせると、より気持ち悪くて宜しいかと思います。ついでに「何で証拠品取っとくんだよ…」というツッコミをある程度回避出来る。……かもしれません。

まあ、こんな感じで、まず事件の捏造→自分で適当に推理→犯人決定後に再度肉付け、な流れですね。大雑把に言うと。
ロイエドは放っておいても事件の捜査の合間合間で勝手にいちゃいちゃしだすので、まあ普段はその辺を心のままに書くわけですが、今回の事件だと「耳を切り取られる」という事件なので、それにかこつけて大佐が兄さんの可愛らしい耳を弄ったり間近でしげしげと眺めたりして、色々敏感な兄さんが過剰に反応しちゃったり耳まで真っ赤になったりするといいと思います。大佐め……!

大雑把ですが「いかにして事件物を捏造するか?」でしたー。
書き終わってみるとつくづく、物凄く役に立たなさそうなのですが、まあ、その…ええと、少しでも事件物増えると嬉しいなー…と。

今回のが役に立たなくても事件物書いて頂けると嬉しいですホントにマジで(懇願)
posted by 観済寺凪之介 at 23:34| 小話